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2026/04/24 13:45
2023年ポーランド、グース農場にて撮影
羽毛の質の違いはどこで決まる?
羽毛ふとんと40年にわたって手づくりしてきた羽毛マイスターの店主が羽毛ふとんの選び方を説明します。
今回は羽毛の違いについてご説明します。
グース(鵞鳥)の方がダック(家鴨)よりダウンボールが大きくて良い羽毛
羽毛の宝石と言われる超高級なアイダーダックダウンを除けば、
身体が大きいグース(鵞鳥)の方が、身体が小さいダック(家鴨)よりも大きなダウンボールが得られます。
身体が大きいグース(鵞鳥)の方が、身体が小さいダック(家鴨)よりも大きなダウンボールが得られます。
ダックの標準的な飼育日数が8週間程度に対し、グースはその倍あるものが多いので、羽毛密度が高く良い羽毛になります。
高級羽毛=グースと覚えておいて間違いありません。最近では少なくなりましたが、それでもグース100%と表記されていても、中低級品ランクでは5~15%ぐらいのダックが混入することは珍しくはありません。(中国やロシアの原料に多く見られます。ヨーロッパでもあります)

ダック(家鴨 アヒル)
グース(鵞鳥 ガチョウ)
マザーグースは品質がいいのか?
グースには卵を産むマザーグースと、マザーグースが産んだ卵から生まれたレギュラーグースがいます。
マザーグースは卵を産むためだけに飼育されます。ポーランドの場合は、マザーグース専用農場で4年ほど飼育されます。羽毛はハーベスティングという手摘みが行なわれていて、平均的な飼育期間16週のレギュラーグースに比べると良質な羽毛が得られます。
マザーグースは卵を産むためだけに飼育されます。ポーランドの場合は、マザーグース専用農場で4年ほど飼育されます。羽毛はハーベスティングという手摘みが行なわれていて、平均的な飼育期間16週のレギュラーグースに比べると良質な羽毛が得られます。
しかしながら、本来なら2.5%程度(ポーランドの場合)しかいないマザーグースが市場には多すぎます。410dp、420dpというマザーグースではあり得ないダウンパワーしかないものも多いのです。
羽毛の色で品質の違いがあるのか?
基本的には色で品質が変わるということはありません。ただ、白い羽毛の方が市場では高く扱われるので。今日では多くが白色の羽毛です。
ハンガリーなどでは、フォアグラ用の鳥はグレーの品種が必要とされていて、羽毛もしっかりしています。ウクライナなどもグレーの羽毛が多いようです。

ハンガリーのシルバーグレーグース
産地(原産国)で羽毛の良さの違いはあるか?
一般にポーランドやハンガリーの羽毛は良いとされています。品種管理などが行き届いていて、良質なグースを多く育ているからです。
一方中国は、ダック(家鴨)が主流で大量飼育型のため飼育期間が短く、ダウンが充分に育っていないため、低級品が多いのが現状です。
しかしポーランド、ハンガリー産だったら全て良い羽毛かというと、そうではありません。
肉もしかり、米もしかり、良い環境で愛情を持って丁寧に育ててやらないと、良い羽毛は得られません。低級な羽毛は存在します。
肉もしかり、米もしかり、良い環境で愛情を持って丁寧に育ててやらないと、良い羽毛は得られません。低級な羽毛は存在します。
ただ良い羽毛を探すとポーランド産というのも事実です。ポーランドはハンガリーに比べると個人農家が多く、丁寧に育てられていること、品種管理がより徹底されていることが理由とされます。
また中国が全て品質が悪いわけではありません。吉林省・黒竜江省など厳寒地で丁寧に育てられたグースには非常に良いものもあります。中国産は玉石混淆なのです。数量的には短期飼育のダックが多く、中国を産地ロンダリングに使っている(ポーランドから仕入れた羽毛に、中国産を混ぜて、全てポーランド産として出荷するなど)こともあって、信用しきれないところが多い現状があります。
グースもダックも食肉の為に飼育されるので、羽毛は副産物です。そのため、肉の需要によって飼育頭数が変わるという要因に影響されます。
絡みあうアイダーダウンは保温性も価格も別格

絡みあって塊になっているアイスランド産アイダーダックダウン
アイスランドやグリーンランドなど極北地方に住むアイダーダックダウンは、羽毛と羽毛の絡みが非常に強く、暖まった空気を逃がさないため、抜群の保温性を誇ります。
年間で得られる羽毛の量は極めて限られているため、非常に良い羽毛ですが、世界中から引き合いが多く非常に高価でもあります。(2026年2月現在では時価) これもニセモノが多いので要注意です。
アイダーダウンほどはないですが、絡みの強いステッキーグースは、ホコリが少なく、保温性も高いのでおすすめの羽毛です。ただし、こちらも得られる量が少ないので稀少です。国内では、あまり流通されていません
ダウンパワーの数字は当てになるのか?

ダウンパワー測定器(河田フェザー)
羽毛の良し悪しを決める基準がダウンパワー(dp)です。羽毛の嵩高を示します。この数字が大きければ嵩がある良い羽毛で、小さければ品質が劣る羽毛です。測定法はIFDBによって決められています。
羽毛の良し悪しを決める基準がダウンパワー(dp)です。羽毛の嵩高を示します。この数字が大きければ嵩がある良い羽毛で、小さければ品質が劣る羽毛です。測定法はIFDBによって決められています。
基本的には正しいのですが、ダウンパワーはあくまで目安です。検査機関の技師からも10ぐらいの誤差は当たり前に出る、と聞きました。ダウンパワーの数値だけで判断すると、誤ります。例えばパワーアップした直後の羽毛を測定した数値は、時間が経過すると減ってきます。
ダウンジャケットなどにはフィリングパワーFPが使われることが多いのですが、測定のルールは同じはずなので、検査機関でバラツキがでることが多いようです。
羽毛のダウンパワー・フィリングパワーの数字は本当に羽毛の実態を正しく表しているのか?
羽毛の品質でダウンパワー(dp)という嵩高性が一人歩きしています。本来公平な数値であるはずなのに、実際には現物との乖離があります。
羽毛は洗浄と選別の技術でも差が出る
実際にあった例です。ドイツの展示会で見た羽毛のサンプルは非常に良いものでした。それを送ってもらいましたが、あまりパワーがありません、実際に仕立ててみても嵩がでないのです。
そこで、スチームによるパワーアップ処理をしてもらったところ、ふっくら嵩がもどりましたが、その一方で元の重量から7%減ってしまいました。
ゴミが混ざっていたと推測されます。
経験則ですが、ヨーロッパの羽毛ベンダーから購入する場合は、洗浄と除塵のレベルを上げてもらわないと、ゴミや油脂分が多くなったりします。
つまり、良い羽毛でもちゃんと洗って、ゴミ取りをして置かないと、本来の良さは得られないのです。
良い羽毛とは、ストレスのない良い環境で愛情を持って、じっくりと長く育てたグースから得られた羽毛を、丁寧に洗浄して分別除塵して得られる
コストを下げるのであれば、狭いケージで速成飼育すればいいのです。このような羽毛は、結局長持ちしません。
当店も昔は大手メーカーの羽毛布団を仕入れて売っていました。中に入っている羽毛が本当にいいかどうかはメーカーまかせで、信用するしかありません。例えば、同じスペックのハンガリーホワイトグースでダウン93%の羽毛といっても原料メーカーによって品質がずいぶん違ったこともありました。
寝具専門店としてこのままでいいのか?という疑問から、羽毛の質の違い、生地の種類や側の縫製、充填量の違いなどもいろいろ研究を深めていきました。
2005年からは、店頭で販売する羽毛ふとんは原則的に全てオリジナル仕様で、自社で充填仕上げを行っています。羽毛も全て店主がより抜いたモノだけを使うようにしています。
信用できる寝具店で求めましょう
以前も産地偽装の問題がありましたが、羽毛布団にしてしまうと中身に何が入っているかわからないのが現状です。当店も昔は大手メーカーの羽毛布団を仕入れて売っていました。中に入っている羽毛が本当にいいかどうかはメーカーまかせで、信用するしかありません。例えば、同じスペックのハンガリーホワイトグースでダウン93%の羽毛といっても原料メーカーによって品質がずいぶん違ったこともありました。
寝具専門店としてこのままでいいのか?という疑問から、羽毛の質の違い、生地の種類や側の縫製、充填量の違いなどもいろいろ研究を深めていきました。
2005年からは、店頭で販売する羽毛ふとんは原則的に全てオリジナル仕様で、自社で充填仕上げを行っています。羽毛も全て店主がより抜いたモノだけを使うようにしています。