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2026/04/06 13:34

羽毛ふとんを40年にわたって手づくりしてきた、眠りのプロショップSawadaの店主が羽毛ふとんの選び方を説明します。
羽毛の種類とグレードの説明から入るサイトがほとんどだが・・・
ネットで「羽毛布団 選び方」と探すと、いろいろなサイトがでてきます。
多くのサイトでは、まず羽毛の、というか鳥の種類から説明が入ります。「ダック、グース、マザーグース」この3種類を説明していることが多いですね。そのあとに、生地やキルティングの説明が続きます。
それでは、一番良いとされる「マザーグース」の羽毛布団を使えば、快適に眠れるのでしょうか?
残念ながら、これらのサイトには快適に睡眠するために睡眠環境をどう整えるべきなのか、という視点が欠落していることが多いのです。
住まう地域の気候風土、住宅の保温性、使う人の体質や代謝量によって、快適な布団の厚さは変わってきます。そのことを一番に考えるべきなのです。
「プロが説明する羽毛布団」というYouTube動画でも、このあたりは説明されていません。いくつか見てみましたが、メーカーの羽毛布団に誘導するように話を持っていく傾向があります。もちろんプロモーション手段として間違いではありませんが、正しいとはいえない情報があります。
羽毛布団選びの1丁目1番地は
自分に合わせた最適な厚さを選ぶこと
最高級の羽毛を使い、最高級の生地を使って、ふっくら嵩高く仕上がった羽毛布団。それはあなたにとって最適でしょうか?
かつて、いや今でも寝具メーカーのトップグレードの羽毛布団には、このような「暖かさ」だけを強調した製品が多いのです。
この30年、日本の家屋は高気密+高断熱化の道を歩んできました。伝統的な日本建築ならいざ知らず、高気密高断熱住宅の場合、上記のような嵩高く仕上る布団では暖かすぎるのです。
新しい住宅では、従来シングルサイズで標準とされる1200~1300gもの羽毛は必要なく、800~1000gの中厚と呼ばれる少し薄い厚さの羽毛布団の方が快適なのです。
さらに昨今は温暖化傾向にあります。夏に自然のそよ風で気持ちよく眠るということはなくなりました。猛暑のなかでは、熱中症予防のために特に都市部ではエアコン必須という状況です。
となれば、タオルケット一枚というわけにはいきません。身体をエアコンで冷やしすぎないような、薄目の羽毛布団や麻布団が要るのです。
住居や体質に合わせて、10段階の厚さを選べる、クラフト羽毛布団
そこで、当店では今までの標準の冬用普通の厚さを8、二層式など嵩高を10、マンションなどに合わせた中厚を7、春に使いやすい合掛を5、初夏から夏向けの肌掛を3として、10段階で厚さを選べるようにしました。
(この数字は絶対的な厚さや保温性を示すものではありません。)
お客様からご相談がある場合は、
・住宅の環境と寝室の環境(北向き、南向き等)
・お住まいの地域
・性別、年齢、使用される方の体質(暑がり、寒がり等)
それぞれに合わせて、最適と思われる厚さを選んでいただけるようにしました。今までは5段階でしたが、住環境がこれだけ異なると5段階では対応できないケースが増えてきたからです。
厚さに合わせた、最適なキルティングを選ぶことも重要
仕上げの厚さが変われば、キルティングも変わります。
例えば冬用の羽毛ふとんでは4×5マスのキルティングがほとんどですが、このキルティングは、身体の中央部に縫い目が来るために、熱を逃がしやすいのです。
この欠点を改善した変形5×5キルトや5×6キルトにするだけで、保温性も身体に対するフィット性も高まります。
ほとんどの羽毛ふとんは4×5マスキルティング。中央部に縫い目があり、熱が逃げやすい


横一マス分を半分にして両側へ付けた変形5×5キルトは、保温力が高まるだけでなく、身体へのフィット性が向上する

羽毛布団の快適さは、側生地の通気性に大きく左右される
もし、羽毛布団の側生地を通気性のないビニールで作ったら、どれだけ良い羽毛を使ったとしても、羽毛の持つ良さは全く活きてきません。なぜならば、羽毛布団の快適さは、素材の羽毛そのものが呼吸するがごとく、温度と湿度を快適に調節してくれるからです。
つまり、生地がどれだけ呼吸できるか=通気性の良し悪しによって快適性は大きく左右されるのです。
そのためには通気性を良くすればいいわけですが、そうするとゴミの多い低級品の羽毛は吹き出しやすくなります。
通常は吹き出し防止のために、カバー等に使われる生地よりも、高密度に織られているのです。さらに、ダウンプルーフという吹き止め加工をしていますので、どうしても通気性を確保するのが難しくなります。
綿100%でポピュラーなサテン織生地の通気度は1.5cc前後
通気性の単位は厳密にはcc/s/㎠ 1秒間にどれだけの空気を通過できるかです。ここではccで略します。
日本の羽毛布団生地の基準は4cc以下となっています。
またサテン生地の場合、一度洗うと通気性が上がるためこともあり、最初の通気性は抑えめになっているのです。
日本の羽毛布団生地の基準は4cc以下となっています。
またサテン生地の場合、一度洗うと通気性が上がるためこともあり、最初の通気性は抑えめになっているのです。
ポリエステルやポリエステル混生地の通気度は0.7~0.9ccで、通気性が悪い
昨今の羽毛布団の多くがポリエステル100% もしくは 綿15%ポリエステル85%といったような混紡ものです。背景には、ポリエステル素材の方が安いということ、ウォッシャブル=丸洗いできるというアピールをするためです。
ポリエステルだと、生地の乾きが早いのですが、その一方で通気度はかなり悪くなります。「洗えるけど、蒸れる羽毛布団」の出来上がりです。
綿100%の平織だと、生地の安定性が高く、通気度も高い
当店オリジナル生地だと通気度は2.6~3.6ccです。平織はサテン織に比べると、最初は少し硬い印象がありますが、シンプルな織り方なので、洗った場合でも生地の組成が崩れにくく安定しています。
その為、サテン織よりも、通気性を上げることができます。
一般の平織は通気度が2~2.5ccですが、当店のオリジナル生地は2.6ccと3.6ccとサテン織の2倍ほど通気性が上がります。
ヨーロッパ製の平織生地は、さらに通気性が高く、4cc~6cc
ドイツなどヨーロッパでは羽毛の吹き出しに対して抵抗が少ない(使用の歴史が長い)ので、4cc~6ccなど国内基準以上に通気性の良い生地があり、それを輸入しています。
蒸れ感を感じることが少ないので、特に暑がりの方はヨーロッパ製生地がおすすめです。
しかしながら、通気性が良くなると、ゴミの多い低級~中級の羽毛は吹き出しリスクが高くなり使えません。そのため、ダウン率95%ダウンパワー430dp以上など、使う原料はトップレベルに限られてきます。
羽毛の良さを活かす、軽くて通気性の良い生地
通気性の重要度については、いままで述べてきました。今度は生地の重さです。結論からいえば、軽い生地の方が羽毛の良さを活かすことができます。
綿100%の生地でサテン織の場合、高級な100番手は100g/㎡、80番手は114g/㎡、一般的な60番手は136g/㎡ と糸番手が小さく(=糸が太く)なるほど生地の重さが増えます。
生地が重いとダウンが膨らみにくくなる
重い生地は、ダウンボールが膨らもうとする力を抑える方向に働きます。軽い生地の方が、羽毛ふとんのなかでダウンが膨らみやすいのです。羽毛ふとんの良さはダウンが膨らんで、空気を抱え込むことで実現されますから、できるだけ軽い生地の方がいいのです。
さらに重い綿の生地は、湿気をその分含みます。湿気の循環から考えても、軽い方が羽毛の良さを活かせます。
サテン生地より平織生地の方が軽くて、洗濯安定性がある
日本の場合、風合いを重視して柔らかい光沢のあるサテン生地を使うことが圧倒的に多いのですが、平織の方が軽く仕上ります。
100番手の生地はサテンが100g/㎡に対して平織は85g/㎡、80番手だとサテンが114g/㎡に対して平織は94g/㎡と15%以上軽量です。軽量な分、側生地の乾きも速くなります。
ヨーロッパ製の生地は75g/㎡~69g/㎡とさらに軽量です。
羽毛ふとんを丸洗いした場合でも、サテンより平織の方が生地が安定しているので、変化が少ないのです。
余談
布団は重い方がよく寝られるってホント?
ねむりはかせでもある羽毛マイスターは、掛布団は軽い方が良いという結論ですが、
その一方で、重い方がリラックスできるのだという主張もあります。
昔から重い綿布団を使ってきた文化もあり、体に少し圧迫感がある方が安心するという方もいます。
その一方で、重い方がリラックスできるのだという主張もあります。
昔から重い綿布団を使ってきた文化もあり、体に少し圧迫感がある方が安心するという方もいます。
これについては「好みに合わせて毛布や肌布団で調整すべし」です。
好みの問題もありますが、積極的に重い布団を使う必要はないと考えます。